久留米市美術館で開催中の展覧会「橋口五葉のデザイン世界(2025/9/13〜10/26)」に行ってきました。

今回は装幀、ブックデザイナーのパイオニアとしての仕事ぶりがわかる展示が多かったのですが、更にグラフィックデザインから新版画創作に進んでいく過程なども含め、下記の5つの章にわけての展示でした。

第1章 『吾輩ハ猫デアル』
第2章 橋口五葉と夏目漱石
第3章 五葉装幀の世界
第4章 五葉の画業
第5章 新板画へ

鹿児島出身の橋口五葉は東京美術学校(現 東京藝術大学)西洋画科在学中に、夏目漱石の熊本の第五高等学校時代の教え子で当時は外交官だった、兄の橋口貢の紹介で夏目漱石と知り合いました。漱石の小説家デビュー作「吾輩ハ猫デアル」の装幀を手がけたことで注目を浴び、以降、漱石の美しい本を出したいというこだわりに、それまでにはなかった装幀で応えていきます。

書籍実物と画稿や下絵、表紙原稿などが展示され、「吾輩ハ猫デアル」などの素敵な書籍ができていく過程を観ることができたのが個人的にはとてもよかったのですが、展示室内での写真撮影はNGだったので写真で紹介できず、ちょっと残念。
最初に本のタイトル、つまり文字のデザインからはじめて、レイアウト、表紙絵(柄)をデザインされてました。

五葉はブックデザイナー、グラフィックデザイナーとして活躍し、三越呉服店のポスター懸賞で「此美人」が一等賞となります。その後、「新版画」に取り組み、アーティストとしての活動もしていくのですが、残念ながら41歳(数えでとのことなので40歳?)で急逝されたため、残された新版画は13点しかないそうです。もっと長生きされていれば名作がたくさん生まれていたでしょうに…。
その残された「新板画」と呼ばれる美しい木版画作品の中の1つ「髪梳ける女」はスティーブ・ジョブズが愛蔵し、初代マッキントッシュの最初のデモ画面に起用されました。

展示の最後に浮世絵研究家としての活動も少し紹介してありました。結構な浮世絵収集家でもあったようです。その浮世絵研究が自分の作品にも活かされたんでしょうね。

展示は撮影NGでしたが、展示室を出た後に、夏目漱石の橋口五葉装幀本の復刻版が置いてあって、触ってもよい、撮影もOKとのことだったので、持ってみたり、中を見てみたりしたのですが、もうね、本が美しいだけじゃなくて、ずっしりしてて立派。こんな本なら大事にしなきゃと思いますね。

その後、ミュージアムショップで図録を買ったら図録サイズのブックカバー4種をおまけでいただきました。図録にブックカバーを付けるつもりがないのでこのまま保管しておこうと思うのですが、図録サイズなので折ってない状態だとなかなかのサイズ。巻かれた状態でもらいましたが、伸ばした状態で保管したいところ。さて、どうしたものか。

橋口五葉のデザイン世界
上:看板内、左が「髪梳ける女」、右が三越呉服店のポスター懸賞で一等賞となった「此美人」
左下:展示室を出たところに橋口五葉装幀本の復刻版が(ここだけ撮影OK)
中下:図録とおまけのブックカバー
右下:ブックカバーの裏面が「五葉装幀双六」

さて、10月に入りました。2025年、あと3ヶ月もありません。ビックリです。この前、お正月だったのに。いや、やたら暑すぎる夏はありましたが。

先月から大学の授業が始まってまして、喉の筋肉が衰えていることを実感しております(100分×3コマ、喋り続けても大丈夫なように喉を鍛えないと)。それから今年から1科目(3科目やってます)の教材(自作)を大幅に変えようと事前準備をしていたのですが走りながら作っているところもあったり、楽しみな新規案件もあったりで今月はなかなかバタバタしています。
免許更新にも行かねば。健康第一でがんばります。

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