ちょっと時間が経ってしまいましたが、2023年5月31日〜6月12日に大丸福岡天神店の催事場で開催された「97歳の料理研究家 桧山タミ台所展」についての記録を。

桧山タミさんをご存じない方もいらっしゃると思いますのが、福岡の方ならこちらの西部ガスのCM(YouTube)を覚えていらっしゃる方も多いでしょう(ロングバージョンはこちら)。

現在、97歳。今もお元気で雑誌「天然生活」にも連載を持っていらっしゃいますが、福岡市内の桧山料理塾を閉じられ台所じまいをされるということで(直接のきっかけは桧山先生が骨折されたことだったんですが)、桧山塾生でもあり、台所道具店を営む私の幼なじみが中心となり、桧山先生から教わったことをたくさんの人に伝えたいと企画した展覧会です。料理教室だから料理のレシピをということではなくて(一部ありましたけど)、桧山先生の考え方、生き方を伝えたいということだったと思うのですが、なんせ大きな企業が企画する展示ではないため、幼なじみ本人の身銭も切った上で資金集めからのスタートです。

まずはクラファン。たくさんの方にご支援いただき軽々と目標額に達しましたが、それだけでは充分な展示をするには足りず、ご支援いただく企業を探したりして無事、展示が実現しました。
(裏話をすると入場者が相当数行かないと赤字という綱渡り状態ではあったんですが)
結果、想定以上の10594人という、遠くは北海道など遠方の方も含めてたくさんの方にご入場いただいたきました。

すみません。なんだか、まるで自分がやったような書き方になってますね。もちろん違うんですけど、全力疾走する友人に半ば巻き込まれる形で(いや、喜んでなのですが)私も微力ながらお手伝いさせていただきまして、まぁ、クラファンの支援もなのですが、そのクラファンのお知らせチラシや、クラファンのリターン兼、会場で販売するオリジナルグッズをデザイン。普段、あまり紙もののデザインはしないのですが、久しぶりに超特急で(時間が無かったw)がんばりました。

チラシとポストカードは事前にわかっていたんですが「桧山タミ ことばの日めくり(31日分の日めくりカレンダー)」を急遽作ることになり、どうしよう、31日分…しかも時間がないぞと思案してたところで、友人に桧山先生が数十年前に海外のいろんな国に行かれて取材された料理や料理道具について書かれたノートがたくさんあって桧山先生が描かれたイラストも添えられてると聞いて、それ!そのイラストをスマホでなるべくたくさん撮ってデータ送ってとお願いして日替わりイラスト入りのカレンダーを作ったのでした(もちろん桧山先生の言葉が主役です)。ただ製作数が足りず、会期前半で売り切れてしまい申し訳なかったです…。
(増刷し、キッチンパラダイスのオンラインショップで期間限定で販売していますが、もう残りわずかだと思います)

そんな裏話はおいといて、展示です。期間中、3回入場してきました。
桧山塾の台所をそのまんま、後は書斎の一部などを会場に移設されてたんですが、これがおもしろかったですねぇ。綺麗に磨かれたたくさんの銅鍋にまず目が行くんですが、細かいところを見ていくと台所道具だけじゃなくて、数十年経つ梅干しや謎の調味料や古い道具やこんなものも?と思ってしまうものも含めて、好奇心たっぷりの先生が実験してみたり、楽しみながらモノを無駄にせず大事にされていたのがよくわかりました。先生の「がんばらんでいいとよ」をはじめとする愛ある言葉達に包まれたような会場でした。

桧山タミ台所展
左:移設された台所
中上:入口には桧山タミ先生の笑顔の写真が
右上:桧山先生の言葉達
中下:「桧山タミ ことばの日めくり」作りました
右下:「ポストカード」作りました

桧山タミ台所展の会場の様子はこちらの動画(YouTube)で公開されています。

もちろん、桧山タミ先生ご本人の人気とお人柄も大きいのですが、先生のことを「今、伝えなきゃ」という思いだけで資金も何もないところから走って走って実現し、期間中、笑顔で会場に立ち続け、結果、1万人を越えるイベントにした友人をただただ尊敬しています。よかったよ〜、ホントに。

と言うことで、いつもの美術展の記録とは違う展示の記録でした。