GWに国立九州博物館で開催中の「アール・ヌーヴォーのガラス ガレとドームの自然賛歌(2023/4/18〜6/11)」展へ。
蚤の市で毎回、古いガラス瓶を見たり買ったりしている古いガラス瓶好きの私ですが、絶対買えない高級な(語彙力)ガラス作品を観てきました(会場内撮影OK)。ちなみに上のタイトルバックの写真はガレのメモです。

大きくは3つのパートに分かれていて、1つ目はガラス工芸の歴史を追いかけたガラス作品の展示です。コアガラスという紀元前16世紀ごろ、メソポタミアにはじまった最古のガラス器製作技法で作られたガラス作品が展示され、その後、吹きガラスが誕生したことで自由な形を作れるようになり、切り子のようなカットガラスも作られるようになりました。この展示されていたコアガラスやカットガラスの美しいこと。
※コアガラス:粘土質の泥などで器の型のコア(芯)を作り、その周りに融かしたガラスを被せて形を整えて冷やし固め、中の芯を取り出して作られた

2つ目はエミール・ガレ、3つ目はドーム兄弟の作品が並びます。
多くのアール・ヌーヴォーのガラス作品を生み出した2組ですが、ガレの方は自身がほぼ一人で作家と経営者をこなしたことで(職人は雇っていてガレ指導のもとで作品作りをしていたそう)身体も壊し、工房が立ちゆかなくなったのに対して、ドーム兄弟の方は経営と芸術部門の総監督と言う役割をそれぞれ担い、外部デザイナーを登用したりして、役割を分散化、量産化もし、工房からガラスメーカーと大きくなっていきました(ドーム一族による経営は1987年に途絶えていますが、現在もドーム社は存在します)。
ね。

まぁ、経営云々は置いといて、目の前の作品ですよね。
個人的にはアール・ヌーヴォーよりアール・デコの方が好みなんですが、ガレの作品は圧巻というか、手の込みように、ただただ、ため息が出てしまいます。ジャポニズムの影響を受けた昆虫や植物など、自然の造形をテーマにしている物が多いのですが、デコラティブが過ぎてここまでやりますかという作品も…(何目線なのか)。
ドーム兄弟の作品も植物を題材にしたアール・ヌーヴォーらしいゴージャスな作品が並ぶのですが、中には小さくて可愛い家に飾っておきたいなと思うものも(おそらく私が大きな一点物より、こぢんまりとした作品の方を持って帰りたいと思ってしまうから)。

いずれにせよ、ガラス好きには目の保養という言葉がピッタリの作品群でした。はぁ、眼福、眼福。

左上:コアガラス両手付尖底壺(前2-前1世紀)
中上:菊にカマキリ文月光色鉢 エミール・ガレ
右上:蘭文八角扁壺(カトレア) エミール・ガレ
左下:蘭文双耳鼻瓶 エミール・ガレ
中下:扁壺[ロレーヌ公ルネII世] ドーム兄弟
右下:シクラメン文小水差と杯 ドーム兄弟

ところで国立九州博物館がある太宰府ですが、太宰府天満宮の御本殿が124年ぶりの改修工事を行うため、現在、本殿の前に建てられた仮殿を参拝する形になっています。今回、国立九州博物館に行った際にはまだ仮殿の屋根しか見られない状態でした。なにしろ工事期間の3年限定なので、なるべく早い内に仮殿を見学してきたいと思っています。

今月は大阪に遠征して美術館と名建築巡りをしてきたので、そちらの記録も忘れないうちにと思っているのですが、いつになるやら…。