福岡市科学館で開催されていた「ヨシタケシンスケ展かもしれない(2023/5/22〜7/16)」の記録です。

絵本作家としてのデビュー作「りんごかもしれない」(持ってる)しか読んだことなかったのですが、作家の「頭のなか」を覗いてみる展示ということで、これは行かねばと思っていた展示です。会期終了間際、ギリギリ間に合いました。いやぁ、行ってよかったです。子供はもちろん、大人も楽しめるだけじゃなくて(大人だからこそ?)いろいろ考えさせられる展示でした。そして、考えさせられるということは「りんごかもしれない」が哲学的なので予想はしていたのですが、こういう本を作る人はこういうことをしてきたのかと圧倒されてきました。その圧倒された原因はタイトルバックに使った写真にあります。

これは壁一面にズラ〜ッと並んだ小さなスケッチの一部。約2000枚あります。ヨシタケさんは常に手帳を持ち歩き、思いついたことや考えたことをその場でスケッチされているそうなのですが、その手帳に描かれた実寸大の複製画です。持ち歩けるように手帳が小さいので描かれたひとつひとつの絵や文字がすっごく小さくて壁のスケッチに近づかないと文字も読めないのですが、これ、全部見てたら1日中いても時間が足りないですね。まぁ、上の方は届かないので全部見るのは元々無理なんですが。約2000枚が並ぶ壁、充分、圧巻でしたが元のスケッチは1万枚を超えているそうです。ここに描かれた小さなアイデアが絵本に発展していくことも多いそうなんですが、スケッチの段階でその発想にクスッとしたり、驚かされたり、単純に絵がうまかったり(あたりまえでしょうけど)。こういうことを日々、続けられているという事実に圧倒され、納得したわけです。すごいです。ヨシタケさん。

そんなクスッっと笑える展示はスケッチだけではなく、会場全体にあるのですが、展示の仕方にあえての手作り感があったり、入場者を楽しませようという思いが展示に溢れていて、いちいちツボにはまってたのでした。
あ、もちろんこれまでに出された絵本の原画もあります。

ヨシタケシンスケ展かもしれない
左上:会場内外にこんなサインというか面白看板が
中上:福岡でのスケッチ 私が毎回行ってる蚤の市に行かれてる!
右上:ヨシタケシンスケのできるまで
左下:じごくのトゲトゲイス(隣に「てんごくのふかふかみち」も)
中下:ヨシタケシンスケのかもしれない年表
右下:出口にあった「あなたのみらいはこれかもしれない!」ボックスから1枚カードをひきます 地球人代表ですって

ちなみに絵本作家デビュー作「りんごかもしれない」はヨシタケさんが40歳の作品だそうです。人生何が起こるか分からないとご本人が言われています。そして…

だからあなたもこの先、今とは全然違う何かになるのかもしれない。

もしも未来に何かよくないことが起こっても、そのときあなたはすごくいいことを思いつくかもしれない。

だから、楽しいことを考える練習を一緒にしようではありませんか!

というヨシタケさんからのメッセージが展示の最後に。
クスッとさせた後にこんなのずるい。なんだかジーンとしちゃいました。

日々のスケッチとかヨシタケさんの真似はできないですが、もっと楽しいことを考えながら、いい加減にがんばらなきゃという気持ちになった展示でした。

もう福岡展は終わってしまったのでぜひ行ってくださいと言えないのですが、これから巡回する会場(新潟、宇都宮、静岡までは決まってるみたいです)近くの方、ぜひぜひ行かれてみてください。